2009-01-01から1年間の記事一覧

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飛行機は上空で一定の高度において安定した飛行を確保している模様である。しかしこの飛行機の中はちょっと寒くないのか。僕はそんな気がしてきたが周囲の人々を見ても変な反応は見られない。どうやらたぶん僕一人だけがこの客席の中で妙な寒気を気にしてい…

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「あれ、飛行機の座席ってこんなに狭かったっけ?」座席に着こうとしたときに思った最初の感想だ。それか僕のからだがいつの間にか大きくなったのだ。しかし究極Q太郎のほうが僕より慣れているみたいだった。「これであと何時間乗るんだっけ」 「13時間ぐら…

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成田を出発する日の午前中から昼下がりにかけて、京成線に乗って空港まで向かった。三月の脳天気な季節外れ感の漲る暑い日和で、成田の奥にまで続く気の長い鈍行電車だった。究極Q太郎とトミーと僕の三人は、電車の窓外に広がるだらだらとした風景をおかず…

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ニューヨーク市の郊外から中心に向かう電車の中で、昼下がり、外は雪模様の曇り空で、車内には薄暗い灰色の光が差し込んでいる限りである。乗っている人の数も疎らな寂しい車内である。木でできた硬い電車内のシートには馴れていない。少なくとも日本の列車…

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「くりちゃん、その格好」究極Q太郎が指を差し笑いながら言った。「あかねに来るときと全く同じじゃんか」成田空港に向かうのに僕らは日暮里の駅で待ち合わせた。山手線と成田に向かう京成線の乗換駅にあたる日暮里駅では渡航者用の待合室がついているから…

夢の見過ぎで

1. 夢の見過ぎで気分の悪くなることがあるみたいだ。現象としてあるみたいだ。 2. 横たわり、背中の裏側にわだかまっていた過去の記憶を手繰り寄せていく。そこでは悪い血が溜まっている様に記憶も溜まっている。記憶の断片とは、睡眠中に布団の中で最も自動…

文学の名誉

1. 昨夜NHKのニュースを見ていたら村上春樹の『1Q84』の中国語訳が発売になったということで中国の土地では大きな文化的話題になっているという報道を見た。村上春樹は中国でも熱狂的なファン層をつかんでいる模様であるが、ニュース映像で中国人の興…

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冬の終わり同時に春の始まりに当たるまだ寒い時期で、しかし時折先取りしたような陽気が訪れてはまたすぐ倍返しするように極端に寒くなるという日が繰り返すような季節だったが、三月中旬に究極Q太郎とニューヨークへ行ったときの話だ。あれは2004年の出来…

バッティングマシン

1. 普段お金に使い慣れていない人に、少々まとまったお金が入ったりすると、ついつい使い道に迷ってしまって変な物を買ってしまうとはよくあることだ。そういう御多聞の傾向性に漏れず、分かっていてもやってしまうということもあるわけであって、特にドンキ…

松本人志の『しんぼる』

1. 松本人志の新作『しんぼる』を見た。まず最初の数分間、あれは3分ぐらいあったのだろうか。早速ガツーンと来た。流石だな。またやってくれるなと思った。しかしこのすごさが今回の映画は二作目として何処までもつのだろうかという疑問も沸き、二作目にあ…

民主党的認識と経済の行方

民主党政権が日本で発足して、早速様々な局面において舵切りを試される事となったが、殊に経済の局面において、まず微妙な現象が起きているようだ。今、急激な円高の波が来ている。先週末のニューヨーク相場からドル円が90円台を切り80円台に突入した。現在…

鎌倉の海

1. 最近何度か鎌倉まで足を運んでいる。今までそんなに縁のある場所ではなかったが友人でひとり鎌倉好きがいるので何度か鎌倉に集合している。気がつくと埼玉方面から鎌倉まで行くのがとても近くなっていた。JRだが、池袋から鎌倉まで今では乗り換えなしの…

怖い女のひとについて

1. どうやら外に出て空気の気配を感じてみると夏も終わっていく模様だが、夏というと逆に冷んやりとする経験のほうがリアリティを持つというものである。夏の経験というのはただ楽しかったでは済まされぬものを持つほうが、人にとってはむしろ現実的な認識を…

中国経済の生命力について

1. 通貨の価値とは日々微妙に更新されているものだが、通貨の動きに影響を与えている外的な指標というのが、必ずどこかに存在している。通貨が何によって影響を受け、その日の変動をするのかというのは、時と場合によって異なっている。しかし通貨の性質から…

ロンドンの街と資本主義の文化

1. デイトレードをやりながら気になるポイントとは、トレードをしているあいだの間の取り方である。トレードというのは、発注と決済のタイミングの良し悪しによって、天と地にも大きく結果が分かれてくるものなので、この間の取り方というのに、どこまで我慢…

市場と現象

1. 物事が変動している過程にとって、変化というのが現実には何処でおきているものなのか、それを意識によって知るのは難しい。難しいというかそれは不可能なことである。身体にとって、実質的な変化とは意識の外側で起きている変動のことである。意識によっ…

真夏の時間性

1. ここ最近どうも季節感がない。気がついたら八月に突入してる模様である。突入とかいうと何かがはっきり、区っきりとした徴候でもあったかというと、本当はそんなものはない。愚図愚図した天気が続いていて時に異様に暑い日も来たりして気がつくとカレンダ…

相場という慣習の痕跡について

1. まだプールへは行けていない。しかしここ最近はずっと「相場」という概念について考えている。相場というものには歴史があるのだ。それは人間にとってきっと強烈な歴史ではあるのだろう。一口に資本主義というけれども、資本主義の中心にある構造とは、市…

夏が来る手前に、市民プールで

1. 久しぶりにプールに行きたくなった。最後にプールにいったのはいつだろうか。ちょっと立ち止まって記憶を思い巡らせてみた。僕の記憶。ここ数年の。なかなかそれが出て来なかった。度忘れには理由があるというのは、かのフロイト先生の説ではあるが、別に…

フォーマットとしての小説

ここ数年の一時期、僕は映画ばかり見ていた。といっても実際に映画を映画館に見に行くとそれなりに費用がかかるので殆どはDVDのレンタルを中心にして映画をよく見ていた時期が、ここ最近にあった。それは一つ一つの映画についてレビューを書くことによっ…

シャービック

最近一日のうちの愉しみにしている事があって、それはシャービックを作ることである。昔懐かし、あのハウスのシャービックだが今でもこの商品が健在で流通していたことに僕はつい最近まで気付かなかった。コンビニでアイスを物色していたときにシャービック…

受験の歴史Ⅳ

1. 受験とは、それで一つの社会的な交換形態になっている。受験というシステムを媒介にして、いつの間にか日本人はそこで一つの立派な文化体系を作り上げていた。受験制度の存在とは、現代社会において日本人の細部にまで染み込み浸透している。日本型受験シ…

受験の歴史Ⅲ

1. 1979年に時の文部省は共通一次試験を導入した。大学入試に統一的な基準を導入するこの試みは、受験戦争の適正化と緩和化に役立つものなら意味のあるものとなっただろうが、結果的には共通一次が最初に導入されたとき、それは受験生の負担を多くの部分で圧…

受験の歴史Ⅱ

1. 日本の受験システムの不思議さとは何だろうか。まず要求されている知識の習得の仕方が、そこでしか役に立たないものであるということ。先に、日本型と呼べる受験システム一般の形について、この受験メソッドをシステムの中心において、率先的に育て、リー…

受験の歴史

1. 日本の受験制度とはなんと奇妙なものだろうかとは、日本で生きている人々であっても皆がずうっと長い間、薄々感じている事態であるのだろうが。この奇妙な学習と選別の体制とは何故出来上がったのだろうかと。そしてそこを経験したことのある殆どの人が、…

水道橋のボヘミアンラプソディー

5月の3日に、エックスのライブが終了した後ドームから水道橋の駅前まで帰る人々の足並みに混じって流れていった。ドームから長くて広々とした通路は延々と続きゆっくりとライブの興奮を湛えながら人の波が移動を続けている。飯田橋から神田方面へ抜ける大き…

ロックと人格性Ⅲ

1. 孔子的に云うと、礼のない者は相手にしないでよいという。礼のない者は門前払いにせよとは、元を質していけば儒家的な物の考え方なのだ。即ち他者を排除する条件とは社会的礼の有無によるものとされる。礼という抽象的な大義名分を基準にしながら、他者の…

ロックと人格性Ⅱ

1. ロックにおいて、音楽の内容が人格のイメージに結び付くとは、どういう意味があるのだろうか。特にポピュラー音楽の場合、音楽と人格の統合したイメージによって、商品のパッケージが成立するというものであることが多い。80年に起きた象徴的事件として、…

ロックと人格性

今月の2日に、忌野清志郎の命日とhideの命日は奇しくも同じ日に重なったものだ。しかし清志郎の体現するロックと、hideの体現しているロックとでは、世代的に、同じ日本の土壌であっても、相当の開きがある。日本の初期的ロック形態と、その成熟的な形態と…