2007-07-01から1ヶ月間の記事一覧

享楽のエコノミーと善の機能

享楽が、あらかじめ禁じられているとは、どういうことだろうか。宗教的には、割礼という儀式があるわけだが、それが特に女子に行われる場合、少女期に陰核を取り除いてしまう。イスラム圏では、女子に対するこの割礼が、今でも平然と行われている地域はある…

ソクーロフの『太陽』

たしか6月の頭頃にここで、ソクーロフやタルコフスキーのDVDがレンタルで出ないような流通の構造をなんとかしてくれと書いたのだが、去年の日本公開だった『太陽』はやっぱりレンタルに出ていたようである。日本の天皇裕仁をテーマにしてそこそこヒットし…

サドによって文学的表出とされたキリスト教的構造の限界点

昨夜は、ラカンのセミナール『精神分析の倫理』の下巻にある15章の「侵犯の享楽」という、サドに関する論考を読んでいた。まずラカンは「享楽のパラドックス」が存在することを示している。享楽は法の次元の周辺に呼び寄せられている。それが享楽として想像…

敗北の文学の敗北、という結果をどう認識すべきなのか?

宮本顕治の『敗北の文学』を読んでいて面白いと思ったのは、既にこの論文において「自己否定」という言い方が出てきているところである。この物言いが、どの辺りに起源のあるものなのかは、宮本顕治以前のプロレタリア文学の草創期過程を振り返られなければ…

宮本顕治と小林秀雄

宮本顕治が他界した。1908年生まれで山口県光市出身、最初は文芸評論家としてデビューし、その後日本共産党の中心的な勢力となった人物である。1929年に雑誌『改造』の懸賞論文で当選し、その時次点となったのが小林秀雄だったというのは、有名な逸話である…

バッタモン経済とは何か?−段ボール肉まんの幻が語る経済の最下部構造

中国の北京で、肉まんの中に段ボールを混ぜて売っていたという報道が流れて、その後、この報道は北京放送のやらせで捏造事件だったと、再び流された。中国政府が、余りに酷い話の内容に、自ら真偽を示すべく介入してきたのだが、最初の報道から訂正の報道ま…

November Rain Acoustic Version Very Rare

ガンズ・アンド・ローゼズの『NOVEBMBER RAIN』のアコースティックデモの音源を見つけた。昔のデモ音源を元にして、別のオリジナルビデオの映像と重ね合わせて、ファンが自作したビデオである。この曲は、92年に発表のアルバム『USE YOUR ILLUSION』に収録さ…

『ダーウィンの悪夢』

昨夜は『ダーウィンの悪夢』という、少し前話題になったドキュメンタリー映画をDVDで見ていた。映画の舞台はアフリカのタンザニアであって、アフリカに資本主義的な産業が入ってきたとき、そこには土地の生産物を巻き上げて、日本やEUに輸出する、典型…

それは本当にライブなのか?

ふとした事から、マイミクさんよりガンズ・アンド・ローゼズのチケットをプレゼントされた。日曜日の幕張メッセのライブである。ちょうど台風が千葉方面を直撃しているということで不安定な天気。ここ数日は憂鬱な湿った空気が続き、雨が降ったりやんだりを…

労働と奴隷の生きられた弁証法

平井玄の書評をネットで見つけて、少し自分自身、回想を思い巡らせてみた事柄がある。 「格差」の話に飽きた人のために この喰って寝て働いて、また喰って寝て書いて生殖して、怒りながら働いて、またまた喰って副作用に怯えながら働いて、寝る。こういうリ…

『プレステージ』

デヴィッド・ボウイが、あのニコラ・テスラ役で出ているというだけで、この映画を見たくなった。ニコラ・テスラはオカルト的想像を手放さなかった科学者として有名で、エジソンとも関係があったわけで(エジソンとはライバル関係にあたっていた)、この映画…

ブラウンシュガーな日々・・・

あのストーンズの名曲『BROWN SUGAR』をカバーしてるビデオで一つ面白いものを見つけた。これをやってるのが素人なのか玄人なのかは定かでないが、どうやらイギリスのランカスター辺りに住んでいるミュージシャンであり、フォークの弾き語りであるみたいだ。…

松田優作の『探偵物語』と『BAD CITY』

70年代の総括とは、テレビドラマの視点から、イメージと文学性の位相において、時代の重さを内部から切断する局面として、思いがけない方角から起きてくる。それは松田優作の探偵物語である。おそらくこれは松田優作ものの中では最高傑作にあたっている。文…

疎外論とは何故間違っていたのか?

そういえば今年の5月には今村仁司が死んでいるが、彼が80年代に言った「第三項排除」の論理とは、まさに宇井純のいったような「公害に第三者はいない」という論理構造のことを指して、批判し、切断するものであったということは、改めて理解されうることだろ…

ある戦後的な極端さの指標

宇井純という人物だが、日本の近代左翼史のコードを振り返る上で、この公害研究家の人物の持っていたイデーの傾向を、改めて分析してみることは、現在我々が持っている論理のコードについて、何故時代的に、このようなものになっているのかを振り返る上で、…

今の渋谷を歩きながら、坂口安吾なら何と云うだろうか?

先日の、公害問題と他者という話の続きについてだが。渋谷を歩いている女子高生に、「だから何?」を言われると云う事とは、主観の内部でしか倫理として思われていなかった情念のわだかまりについて、突き返される体験であるが、他者とは何かについて、ずっ…

宗教にとって原理主義とは何なのか?

神学校内に依然1千人以上立てこもり パキスタン銃撃戦 http://www.asahi.com/international/update/0704/TKY200707040439.htmlパキスタンの首都イスラマバード中心部のモスク(イスラム礼拝所)に併設された神学校で発生した治安部隊と武装学生の銃撃事件で…

Whiskey In The Jar -2

アイリッシュの民謡だった『Wishkey in the jar』をシンリジイがロックにして、それをメタリカがカバーしている。もともとこの曲はアイルランドでの酒場で労働者やルンプロに歌われていたわけで、シンリジイの歌詞を見ると向うの隠語で何を書いてあるのかわ…

『ダイ・ハード4.0』

今月の頭、1日は例の如く映画の日で、何を見ようか迷ったのだが、ちょうどダイハードの新作が公開したばかりだったので、それを見ていた。ダイハードシリーズというのは、僕にとって嫌いな映画ではない。何か惹き付けられる奇妙な重力を映画の設定自体が放っ…

Whiskey In The Jar

ようやく梅雨らしい天気になってきたという感じで、空はどんより曇っている。関東地方のことですが。こういう重たそうな雨空を眺めていると、なぜだかアイルランドっぽい音楽が聞きたくなる。曇り空が長く続くというとアイルランドの気候を連想させるからだ…

宇井純=「公害に第三者はいない」=だから何?(渋谷の女子高生)

宇井純は日本の公害問題研究家であったが、去年の11月に死去している。『公害原論』といった著書がある。日本の公害問題とは、近代期において田中正造の運動に始まり、産業化の過程の中で、必須な問題として発生し、昭和では戦後期に特に、水俣病問題をはじ…