2007-05-01から1ヶ月間の記事一覧

戦後日本社会の過剰なものの実在−松崎明vs鈴木邦男

ちょっと興味を引いた本のタイトルを見つけて図書館で借りてみた。『鬼の闘論−いでよ変革者 松崎明vs鈴木邦男』(創出版)という対談本である。05年に出ている本だ。松崎明といえば、あの動労だった松崎である。映画、パッチギ2の冒頭のシーンでは、74年の…

タクシーという労働業界の話

そういえば先日ラジオを聞いていたらタクシー業界の特集をしていた。タクシー料金が初乗りで値上げになるということなので、その背景にあるものとは何かという話だったのだ。僕は、かつて営業用の二種免許を取得し、タクシーの仕事をやったことがあるが、も…

河に沿って歩け…アメリカンレフトとしての正統性−PATTI SMITH

あのミル・プラトーにも登場するパンクロッカーといえばパティ・スミスである。パティ・スミスの何がすごいのかといえば、まず彼女の転がるような二十代の波乱万丈な人生、NYに出てきて、子供を作り離婚し、工場で働き、後にエイズで死ぬことになる写真家…

BLONDIEのNY的マニフェスト−Dreamin is Free

NYの歴史的なライブハウスCBGBにとって、70年代は記録的な時代となっている。ロックの基本形式を決定する上で、最も前衛的な実験が為された場所として記憶されることなる。77年以降、ロンドンを中心にしてパンクロックムーブメントが起きるとしても、既に…

『悪魔とダニエル・ジョンストン』−人が底辺に達したとき機能する芸術と信仰について

去年公開されたドキュメンタリー映画であるが、最近DVDになって並んでるのを見たので借りた。ダニエル・ジョンストンというのは、アメリカの風変わりなアーティストである。彼は、一つは音楽を作っていて、もう一つはイラストを描いていたりしている。音…

家族問題に切り込んだ監督ダンカン

ダンカンの監督作品『七人の弔』という映画を見つけた。近所の蔦屋にも置いてあったので借りてきてみた。ダンカンとはあの、たけし軍団のダンカンである。ダンカンというと出身が埼玉県でうちの近所だったので妙に前から親近感があった。毛呂山町の出身なの…

映画にとって続編の意味とは何なのか?

今夜は雨が降った後で少し寒めの天気だったが近所のシネコンまでちゃりんこを飛ばし、レイトショーで『パッチギ!LOVE&PEACE』をみてきた。客の入りは多くもなく少なくもなくといったところ。郊外のシネコンのレイトだから、閑散とした客席で贅沢に見るとい…

『断絶−TWO LANE BLACK TOP』−アメリカン・ニュー・シネマの価値

マイミクさんが強く推していたので興味を持ち借りにいってみる。71年の作品でいわゆるアメリカンニューシネマの中では伝説的作品に当たっているのだが最近やっとDVD化された。監督はモンテ・ヘルマンである。モンテ・ヘルマンという人物はアメリカの映画…

『ゆれる』−深淵と谷底の見出される場所性

去年の日本映画だった『ゆれる』を借りてきて見る。最初にDVDを装置でかけていたら(僕はDVDを見るときいつもPCでかけているのだが)、英語のsubscript−字幕が入ってしまって、タイトルのところで−SWAY−と出てきた。「ゆれる」とは、SWAYのことだっ…

福生の町とは、どのように描写すると良い味が出るのか?

蔦屋で『シュガー&スパイス−風味絶佳』を借りてきて深夜に見ていた。一般的に、物語というものの中には、その物語の中で独自に反復性を帯びる、特殊な記号性が出てくるが、この話では、それは森永のミルクキャラメルであり、誰にでも懐かしいあの黄色い箱の…

UNDER PRESSURE

デヴィッド・ボウイは1982年にクィーンと共同して一つ、曲を作っている。『UNDER PRESSURE』である。クィーンとボウイが共演することの意味とは何だったのだろうか。QUEENというバンドは、ロンドンに端を発する、70年代に、いわゆるハードロックというジャン…

擬似通貨はマルチなのか?−「円天」とは何よ

日曜の夜だが、テレビの報道バンキシャを見ていたら、ちょっと注目すべしニュースの特集をやっていた。擬似通貨を提供することで会員を集めている団体というのが、どうやら現在、日本で台頭してきていて、それがマルチ商法の疑いがあるという話だったのであ…

『グエムル−漢江の怪物』

『グエムル−漢江の怪物』とは去年話題になった韓国映画であるが、DVDで見た。怪獣映画というか、これは狭義に怪獣映画である、とでもいうべきなのか。しかし本来の怪獣映画というのは、元々こういうものだったのであり、怪獣自体が暴れる姿を売り物にする…

デヴィッド・ボウイの震える怪物

デヴィッド・ボウイに『ASHES TO ASHES』というビデオになってる曲があるが、あれは奇妙なビデオである。ボウイが何物かのトラウマと戦ってる姿が抽象的に描かれている。白い四角い部屋の隅で丸くなり震えているボウイ。そしてピエロの格好をした背の高いボ…

とんでる教授も、さり気なく

70年代末に、ロンドンのJAPANと日本のYMOと、美学的なコミュニズムに惹き付けられる流れに共鳴しながら、音楽における形式美を追求する。現代的な音楽の流れをロックに至るまでの線から綜合化する視点、メタ的な形式によってそれらを抽象的に総括して示す流…

『DEATH NOTE』は、なぜ時代的に共有され、こうも受けているのか?

去年話題だった『DEATHE NOTE』というのを、DVDで借りてきて見た。といっても昨夜見たのはまだ前編だけである。後編の方は、また後で見ようという気持ちである。いろいろと複雑な関係構成になっていて手の凝った作りをしている物語だと思うが、基本はわか…

デヴィッド・シルヴィアンの赤いギター

82年にJAPANが解散して、デヴィッド・シルヴィアンはソロワークとして充実した活動を迎えることになる。JAPANの中にあったポップな傾向は消えていき、シルヴィアンの向かい合うものとは、内在的な境地へと奥深く掘り下げていくことへと赴いていく。シルヴィ…

JAPAN−70年代末ロンドンパンクスと美学的コミュニズムの隆盛

70年代後半のロンドンの文化的多産性というのは凄いものだった。それは基本的にロックの進化の流れを中心に連動して起きていた文化運動であり、ファッションからイメージ−映像・映画まで、極端な地点にまで究められ、実験され、爛熟した文化の姿がそこにあっ…

『バベル』

今月の1日は近所のシネコンで話題の『バベル』を見ていた。毎回月はじめは多くの映画館でサービスデーということでロードショー作品が千円均一である。先月の1日はそういえば『蟲師』を見ていた。その前の1日はというと、これは『それでも僕はやってない…

『ブラッド・ダイヤモンド』

この映画はなかなか面白かったのではないかと思う。というのは去年、日本で紆余曲折の上に公開されたということで奇妙に日本ローカルのヒットを遂げたホテル・ルワンダという映画が、アフリカで起きている戦争のメカニズムが先進国からの引き金で動いてると…

近所に新しいスーパーが開店した。

うちから一番近い距離にある店だが、二ヶ月くらい前までそこはいわゆる99ショップだった場所だ。99ショップは便利だったので結構重宝していた。大抵の生活品がそこで揃ってしまう。食材から文房具、入浴剤から最近では木炭まで99で売っていた。ある種…