2008-01-01から1年間の記事一覧

小室哲哉の『WOW WAR TONIGHT』

1. 小室哲哉の曲だったらこの曲が一番いいと思っていた。趣味判断の観点からいって小室哲哉は受けつけないという人は多いのだろうしそれはそれで正しい選択であるとは思う。しかし音楽をヒット曲の生産として売る立場と自己のイメージを資本主義に匹敵するよ…

死者としてのジャズを蘇らせる稀有な方法的能力

ロックは音楽史に対して批評的な位置にあるが、それではジャズとは何だろう。ジャズの音楽史的な位置づけである。ロックはあらゆる音楽史を対象としてそれを批評的に取り込むことが出来る。変幻自在でありヌエのようなそれ自体一ジャンルだ。元からあった音…

The Shadow of No Man−音楽の終焉という到達点

The Shadow of No Man −Crime & the City Solution 80年代中期から後期にかけて、ロックというジャンルの内的進化形態として最終的な飽和に向かっていたのだと思う。幾つかの実験的なバンドは、実験音楽としてのロックをその前衛的な価値においてとことんま…

渋谷とBYGと僕らの歴史

そういえば九月最後の日曜日の夜にノザキが再婚したというのでパーティに行ってきた。渋谷の駅からマツバラ君と二人で六本木通りの大きな坂を夕刻の曇空を見やりながら上っていった。都内の動脈にあたる幹線道路で巨大なパイプラインだと歩きながら改めて感…

相撲と美学とシンボリズム

日本の相撲界の展開が最近慌しい。八百長がどうしたの外国人力士が大麻を吸ってどうしたの、かわいがりという名のリンチが監視対象になっただの、ロックミュージシャンに高飛車な態度を取ったのを怒られただの、ニュースをつけると相撲の話題に事欠かないよ…

渥美清の『拝啓天皇陛下様』

秋が来た。静かな夜更けである。しかし台風が来ている模様である。大きな台風でとても速度が鈍いという。そのうち天気が崩れそうだ。雨が降るたびに夜の静けさは増していく感じだ。涼しい夜更け。何か物寂しいくらい。時間は静かだ。深夜から野村芳太郎の映…

思考の場所

人がものを考えるというとき、それはどこで考えているのだろうか。人は、頭で考えているのか、心で考えているのか、心で考えるということは身体感覚としては胸で考えているように感じることが多い。日常的な事実である。正確にはそれらは脳で考えているのだ…

サミュエル・フラーの『最前線物語』−戦場の狂気と日常性の戦場

サミュエル・フラーの『最前線物語』を見ていた。フラーにとって、1980年の映画で、もう彼の作った最後の方に近い映画にあたっている。スター・ウォーズのマーク・ハミルが兵隊役で出ているが、彼はスターウォーズ以外の作品では殆ど当たらない役者だったの…

キリスト教と文化の力関係

ニコラス・レイの作ったイエス伝(1961年の映画『キング・オブ・キングズ』)を見ていて考えたことだが、イエスを巡る神話というのが、集団形成上の範例となり、ヨーロッパにおける文化の基本構造を作ってきたことの意味とは、どういうことなのかということ…

ニコラス・レイの撮った古典的イエス像

昨夜はずっとニコラス・レイ監督の『キング・オブ・キングズ』を見ていた。数日前にはやはり同監督の『北京の55日』を見ていた。ジェームス・ディーンの『理由なき反抗』を撮ったニコラスレイであるが、『理由なき反抗』が1955年の映画で、『キング・オブ・…

エドはるみの芸風に見るサブカルチャーの反照過程

テレビを見ていると最近出てきた新しい芸人で、エドはるみという人のレポートをやっていた。新しいといっても年齢的には中年の女性で、だからか「アンチエイジンガー」を自称して特徴的なコントを売り物にしている芸人である。なんでも出川哲郎と同級生とい…

サンフランシスコの高みで『ONE WORLD』と叫ぶことの意味

聖火ランナーを妨害する運動が各地で起きている。サンフランシスコを聖火ランナーが走る。ゴールデンブリッジの高架には、「FREE TIBET」の横断幕が活動家によって取り付けられていた。横には「ONE WORLD ONE DREAM」という大きな文字も入っている。海峡を跨…

『自由チベット』という問題−宗教における消極的自由とは何か?

昨今のチベット問題について、敢えて斜めから見てみるべきだと思うのだが。どうだろうか?チベット問題でどうも今一つ、あそこで起きてる問題の重力圏から距離を置き身を引き剥がざるえないポイントというのがあって、チベットを地域的に、独立国家として解…

80年代ベルリンに地の底から湧き上ったマイナーロックの音、そして天使の詩

ヴィム・ヴェンダースの音楽の趣味が面白いことはよく知られていることだろうと思うが、1987年の映画『ベルリン・天使の詩』で使用された多彩な音楽の構成に感銘を受けた者も多いはずだ。ベルリンという多様な想像力を掻き立てる街において、そこに通底すべ…

『ラスト、コーション』−主体化とは、なぜ意識を裏切るのか?

前作「ブロークバックマウンテン」に続くアン・リー監督の映画である。アン・リー監督というのは特に注意していた名前ではないのだが、ブロークバックマウンテンでちょっとした感銘を受けたので、その前作に当たる「ハルク」(超人ハルクの実写版映画)をD…

弁護士とタレント

そういえばテレビを見ていて思ったが、大阪の府知事に新任したのは橋下徹という、テレビの出演で人気を博して出てきた弁護士だった。弁護士からテレビのコメンテーターとして定着する人がいる。今日の昼に見た八代英輝も、ご意見番のようにしてもはや馴染み…

ツチノコと都市伝説

今日の朝から昼にかけて、テレビの報道で話題になっていたものとは、ツチノコといわれて出てきた映像だったと思うが、元ネタが如何わしいゴシップ新聞であっただけあって、どう見ても想像上の民間伝説の中にあるツチノコのイメージとその映像を結びつけるこ…

想像界の機能

例えば、ジジェクは、自我理想と理想自我の違いについて、このように定義している。 フロイトは、主体を倫理的行動に駆り立てる媒体を指すのに、三つの異なる述語を用いている。理想自我(Ideal-Ich)、自我理想(Ich-Ideal)、超自我(Uber-Ich)である。フ…

ナルシズムとプライド、そして理想自我と自我理想の違い

ラカンの用語で、理想自我と自我理想の違い、という言い方が出てくる。ある意味有名な説ではあるのだが、どうもこれをどう理解すればよいのかという段になると、実は相当難しい話なのではないかと思う。それはラカンの説明の仕方自体が、まず難しいというこ…

人は「対象a」の事について、どう説明すればよいのだろうか?

ここで忘れてはならないのは、対象aは欲望の原因であり、欲望の対象とは違うということである。欲望の対象は、たんに欲望される対象のことであるが、欲望の原因は、対象の中にあるなんらかの特徴であり、その特徴ゆえにわれわれはその対象を欲望する。それ…

情報と餃子

最近のテレビを見ていると妙に餃子が食いたくなる。こんな気持ちに襲われたのは何も一人だけではないはずだ。その証拠に今、スーパーでは、餃子の皮ばかりがよく売れているそうだ。そう生活ニュースでやっていた。報道の流れで触発された、日本人の餃子に対…

映画とネットの垣根が崩れるとき

『クローバーフィールド』という映画が今月全米で公開されてヒットしているらしい。どんな映画かというと、日本のゴジラを下敷きにした怪獣映画であるみたいだ。しかしこの映画は仕掛が少々凝っている。まず肝心の怪獣の姿について、物体xとして、あるいは…

よく晴れた冬の寒い日に東京ドームで

今日は寒かった。晴れていて風が強くて寒い日が一番辛いのかもしれない。マイミクさんからコンサートのチケットをもらった。東京ドームのボンジョヴィである。僕は自分の人生に賭けてボンジョヴィをよいと思ったことは一度もないのだが、ただでチケットをく…

この冬は暖かいのか?

今日は霙か?いや霙という程でもないただの冷たい雨が降っている。止むのを待っていたが中々そうはならない。結局そうして夕方の時間も過ぎ夜になってしまった。先月の携帯料金をまだ払っていなかった。隣の駅のショップまで歩いて払いにいきたかった。それ…

『ラカンのトポロジー』という本が面白いですね。

もう絶版になってる本かもしれないけれど。『ラカンのトポロジー−精神分析空間の位相構造』、ジャンヌ・グラノン−ラフォンという人の書いた本を読んでいて面白い。91年に白揚社から出ている。某数学マニアさんの家に眠っている本だというので僕がただで譲り…

寓話という形式の意味について考え直す

最近よく重宝して参照してる本に『カフカ寓話集』という岩波文庫があるのだが、寓話、要するにallegoryかfableということだが、それが何だか僕には今までよくわかっていなかったことに気付いたのだ。寓話とは何かといえば、小話で語ること、しかもそれはよく…

歩行のリズム

年末から今まで特に何があったというわけでもないのだが時間が過ぎていった。大晦日から一日にかけて深夜に目が覚め漫然と時間を持て余していた。年末と年始は何とテレビが面白くないのだろうと思いつつ、CNNの英語ニュースを眺めたりしながら、朝が来て…