『ラカンのトポロジー』という本が面白いですね。

もう絶版になってる本かもしれないけれど。『ラカントポロジー精神分析空間の位相構造』、ジャンヌ・グラノン−ラフォンという人の書いた本を読んでいて面白い。91年に白揚社から出ている。某数学マニアさんの家に眠っている本だというので僕がただで譲り受けたもの。「へぇ〜、ラカントポロジーとか、あるんだ」と思ってその人は買ったみたいだけど全然読まれていなかったので、最近僕のところへ渡ってきた本だ。数学的な位相構造に詳しい人が、ラカンの示した幾つかのシェーマについて説明している。薄いけど結構重要なことを書いてる本だと思う。薄い割には2600円という値段が入っている。一ページあたりの単価は高い本である。しかし数学的な意味で構造を説明しうる密度の濃い思想書というのは、こういうものもありかと。つまり薄くて、一発ではとても理解できないから何度も読み返すが、構造について数学的に綿密に定義が為されているので、繰り返し眺めているほどに味わい深く・・・読む、というよりは繰り返し眺め、見るという感覚に近い、また見てるうちに自分の視力が良くなったのではないかと感じうるような本、・・・より洞察的な理解を段階的に深めうる本。であるがゆえに貴重な体験を指示しうる面白い本。妙に愛着の沸く様な本ということか。数学的で薄い本、構造的で体系的で密度の濃い本。例えばスピノザデカルトの記述とは哲学の中でもそういうものに当たるのだし、そういった数学的センスに影響受けた人の本というのは、現在でも魅力あるね。