2006-09-01から1ヶ月間の記事一覧

シンボルを解体することの意味

1 ベンヤミンが『ドイツ悲劇の根源』で示した問題設定とは、こんどは『複製技術時代の芸術作品』において更に別の角度から究明されている。 いったいアウラとは何か?時間と空間とが独特に縺れ合ってひとつになったものであって、どんな近くにあってもはる…

意識と自然

1 ソクラテスの本質をとく一つの鍵は、「ソクラテスのダイモニオン」と呼ばれるあのふしぎな現象である。彼の法外な悟性が動揺するような特別の状況下で、しっかりとした足場を彼が得たのは、そういう時に聞こえてくる神の声によってであった。この声は、そ…

ニーチェと音楽

1 ニーチェにとって、音楽を哲学に導入するとは、どのような意味を持った試みだったのだろうか。それはニーチェの著作の流れにとって、最初の問題系を形作っている。ニーチェの出発点とは芸術哲学であり、芸術の歴史によって抽象されて取られる切断面から見…

ロマン主義という痕跡

1 ベンヤミンの『ドイツロマン主義における芸術批評の概念』。ドイツロマン主義の分析においてベンヤミンが見出しているのは、反省的な知の持ち方が、何処かで直接的な確実性、直接的な知覚によってリンクされ、保証されていなければならないと考える、ある…

アレゴリーによる闘争

1 ニーチェの時代背景にとって、悲劇の発見とは何を意味したのだろうか。ベンヤミンは、近世から近代のキリスト教世界にとって、悲劇を上演することの意味とは、シンボルVSアレゴリーの闘争という様相を取ったのだと分析している。2 アレゴリー的な見方の根…