2006-12-01から1ヶ月間の記事一覧

『サウンド・オブ・ミュージック』−三角形を巡る謎の超越

ロバート・ワイズ監督による1964年の有名なミュージカル映画である。ミュージカル映画の中では古典といえる。舞台は、第二次大戦前夜のオーストリアである。ナチスはドイツ帝国によるオーストリアの合併を進めていた。オーストリア海軍の将校の邸宅に新しい…

ケン・ローチの『麦の穂をゆらす風』

ケン・ローチは主にこれまで、労働者階級的な生の側面からリアリズムを抽出してきた作家である。イギリス人映画作家としてのケン・ローチが維持してきたのは、社会主義的視点とリアリズム的視点である。彼の新しい作品、『麦の穂をゆらす風』において彼が切…

三軒茶屋

日曜日に三軒茶屋へ行った。目的は見逃していた映画を名画座で見るため。黒沢清のLOFTをまだやってる劇場がそこしかなかったのだ。三軒茶屋中央という名画座。はじめて行く劇場だ。午後の4時からの上映だった。埼玉から向かったのだが、休日のターミナル駅…

今村昌平の『ええじゃないか』

時は幕末である。横浜の海にはアメリカの黒い船が開国を要求に来ている。アメリカからやって来た船の中から一人の日本人が出てきた。彼は船で難破して漂流してるところをアメリカ船に救い上げられた農民である。彼はアメリカまで連れて行かれた後に、もう一…

『楳図かずお恐怖劇場 蟲たちの家』

黒沢清が楳図かずおの漫画を原作にして映画を撮っている。『蟲たちの家』である。猜疑心、支配欲、独占欲の強い夫のドメスティックバイオレンスに耐えかねた妻が、家の一室で閉じ篭りになってしまった。彼女は自分が虫になったのだと思い込んでいる。夫は妻…

黒沢清の『降霊』

霊媒師の仕事を片手間に手がける主婦が、大学の心理学研究者に興味を惹かれ研究の対象になっていた。主婦は定期的に大学の研究室にゲストとして呼ばれインタビューを受ける。彼女は遺品などの物質的なデータから、その背景にある人物像を当てる技術があった…