プリンスにとってレボリューションとは何だったのか?

80年代には続いてきた個別音楽史の流れがそれぞれ飽和によって繁栄を見ることになる。特にアメリカ黒人音楽の流れは続いてきた個別セクト性を失なわずにしてその最も優雅な繁栄を見ることになる。黒人音楽のセクト性とは何か。社会の中で疎外されていた人間…

ファイン・ヤング・カーニヴァルズの『Johnny Come Home』

1. ロックという表現形式がイギリスであらゆる階級を覆い尽くした頃、それが即ち80年代であったが、音楽のジャンルも多様を極めた。ニューウェイブと呼ばれる動きはロックという形式の単純化の運動を、レゲエ、スカといった原始的な形式化から再び接近してい…

ロックが発掘する倫理上の古典化−Big Audio Dynamite

イギリス人にとって左翼的なセンスとは何なのかと考える時、パンクロックの短い歴史がそこに重なる。パンクにもある種パターンがあった。それらは幾つかのパターンである。クラッシュの形に収斂した若者たちの叛乱のイメージとはその一つである。20世紀の後…

E=MC2

ミック・ジョーンズは、イギリスでパンクロックの草創期を生きた群像にあってクラッシュのギタリストだった人物だが、クラッシュの音楽がその生成とサイクルを一通り終えた後に、その史的役割を終えるようにして消失していくのとともに、ジョー・ストラマー…

書くのが難しいこと。。。

一つ短編小説を4回分ほど書きかけていましたがどうもテーマに自信がなくて削除しました。なんでもかんでも小説にできるわけでなく私小説的な書き方にも限界があるのはわかっているので難しいですね。それを書いてみて、再現してみて本当に意味のあるものを書…

馬鹿にならない嘔吐の症状

というか貧血の病で8月からぶっ倒れて入院していたんですけど。原因はというと7月の7日に某大学探検部OBの友人宅へと浜松まで埼玉からバイクで出掛けていたんだけど炎天下のなかなかハードな道中で、午前中に出発してちょうど300キロほど走ると浜松で、夕…

やっと一本終りました

さて長々と一本の小説を書いてきたわけだがそれもそろそろここでお終いにしたい。時間がかかりすぎたというかもっと短編に絞って書いたほうが僕にとって効果的かもしれないとは思う。次に書くものも決まっていてやっぱり小説なんだがもっと簡潔に回転できた…

25-6 (Train in vain)

それから数時間のあいだ僕らは空港の時間が来て解放されたロビーのソファを利用して、眠ったり語ったりを何度か繰り返していた。僕らの飛行機が出る時間が近づいてきて、同時にロビーは東京行きの人々で埋まってきつつあった。ソファに隣同士で疲れた身体を…

25-5

1. 「なんだ。つまりそれは、舐めたらあかん、というレベルの話かい。国家のレベルでも個人の実存でも」 「まー。。。そういうこともできるかな」「いいじゃんか国なんて。滅びてしまえば。。。でも、そういうわけにはいかないのかな?」「そうだな。。。」…

25-4

1. 「でもさ。エンパイアステイトビルの地べたからは見えなかったアメリカのプライドでも、ビルの上から眺める景色には、よっぽど壮大な迫力とその強度に迫るプライドが感じられるということではないのかい?」「なるほど。ビルディングがあればそれは上まで…

25-3

1. 「それで究極さんは、昨夜いったい何処にいたんだい?」 「ぼくかい?。。。ぼくは、だから。。。エンパイアステートビルに行っていたよ。。。」 「なんだ。本当にエンパイアステートビルまで行ったんだ。それで。。。深夜のエンパイアステートビルに、何…

25-2

1. 早朝の閑散とした空港ロビーの中でエスカレーターに立ち、上昇していった。広々した空間の中でまだ僕の他にこの長いエスカレーターで乗ってる人は一人もいなかった。しかし無駄に贅沢に電動のエスカレーターは時間の中で律儀に運動を続けていた。そして静…

25-1

1. 42番街で買ったアメフトのボールを枕にして床の上に寝ていた。JFK空港の待合ロビーである。室内は特に寒すぎるということもない。しかし夜の間に外は激しく吹雪であったことは知っている。その痕跡は今でも伺われる。着ていた黒い革ジャンは下の床に熱が…

24-4

1. 飯塚くんが言った。「だから今では。。。アナーキスト系の社会学には、TAZという概念がありますよ。」「タズ・・・なんだいそりゃ?」「Temporaly Autonomie Zone、−−−という意味ですね。」「なるほど。だから自律的に出来上がる自由の空間は、常に時…

24-3

1.革命書店のテーブルに出ているコーヒーは、それなりにうまかった。何かコーヒーにこだわりのある人が、そこでいつもコーヒーを用意して待っているのかもしれなかった。こういう風に外は冷たい風で寒い日にも、ふと雑多にやってきて気がついたら話が深い所…

24-2

革命書店の長いソファの上では既に、僕らにとって左翼を巡るディスカッションがいい所まで到達していた模様だった。「それじゃあ。。。左翼の陥ってる問題で根本的な間違いとは何なんだろうか?」飯塚くんがそう切り出したのだったが。「まず彼らの多くは、…

24-1

「ピエーールーーぅぅぅーーー」村田さんが名前を言って呼んでいた。彼女は大きなつばが円くついた帽子を被っていて手を振りながら嬉しそうに呼んでいたのだった。チェルシーのビル街の一角で。革命書店の前を目印にして、僕と究極Q太郎のほうにこっちへ来…

MINISTRYのアメリカ−『New World Order』

ボストンで爆弾事件があって、911以来から少し緩んでいたアメリカ合衆国の監視体制も、再び緊張を強いる関係性として復活してしまった模様である。どうやらアメリカという国では、わけのわからない身元不明の襲撃者によるテロという項目は、強迫的にそれを念…

23-5

半分冷たくて堅い床の上で目をあけると、高い天井が目に映った。空港ロビーの全体が円形を為した高い天井である。余分な電灯はみな消しているので、この空間には人が過ごすのに最低限の電源しか灯されていない。そして全体が円形を為した広い空港ロビーの片…

23-4

「わたしねえ。。。あの店でセクハラされたことが、ないんだよねぇ。。。」それはチャイナタウンのレストランで、食事の最後でデザートの点心をつつきながら村田さんが、俯き加減、いった言葉だった。 「なんか私がおかしいのかな?」 彼女は顔を上げて見回…

23-3

深夜で無人のすべてが機械仕掛けで動いているモノレールから降りて、僕は6番ゲートの建物に入った。ゲートの中を歩いて行くとそこには広い待合室が開けていた。深夜なので上の電灯は消しているが、薄暗くなっている広い部屋には、翌朝の発着を待つ人々が、…

23-2

バスの乗客は、一人減り、二人減りというように、次第に降りていった。運転手に降車する場所を告げ、運転手が配慮しながら客を降ろしていく。最後はバスの中に残っている客は僕一人となった。暗い景色だけを見ながら、これが本当に空港まで行くバスなのか不…

23-1

駅を出てから階段を伝い路上に降りる。そこは薄暗闇の中に寒いバス停になっていた。ニューヨーク市の郊外であり場所も名前もよくわからない場所だ。そして駅前だというのに特に街灯も乏しく、開いているような店もない。零時を過ぎているとはいえこちらのほ…

22-6

それは郊外から郊外へと繋ぐごく短い路線だった。15分ほどの時間か。この白人警官と二人っきりで過ごしたのは。路線を電車は走り終えたようだった。またそこも小さなターミナル駅に到着するともはや半ば不機嫌な顔つきになっていた警官の後に続いて僕は電車…

22-5

ニューヨークの市内を走っている電車にとって、それが地下鉄として地下の中を走っている区間というのはマンハッタンの島を中心にした区域であって、そこから延びる路線が郊外の方へ入ってくれば、それらは普通の電車として地上の上を走っているものとなる。…

22-4

ニューヨーク市警の警官。上から下まで制服に身を包んだ背の高い警察官の男だった。頭に被るキャップにはNYPDの文字がしっかり入っている。そして警官の男は白人である。ここアメリカという土地の上では、いかにもという感じの白人らしい白人でしかも警察官…

22-3

その夜は不安な夜だった。そして僕はニューヨーク市の地下鉄をランダムに乗り継いでいた。特に積極的にどこかに行きたいという欲望があるわけではない。むしろ何ら今夜一晩の時間に積極性が望めないので、しょうがないのでそうやって時間を潰しているという…

22-2

ニューヨークの深夜に地下鉄で、若い黒人男が突如立小便をする様を目撃した車内では、僕の隣にいた数人の女性たちは、やはり黒人かヒスパニックの女性で、ここで下手に視線を合わせたらいけないといったように、首をつんと硬直して立てたまま、視線を不自然…

22-1

夜の地下鉄に乗っていた。時間は深夜の零時前といったところ。これはニューヨークの夜ではまだまだ序の口で深い時間へは入口というところか。そのとき休日に続き跨ぐ夜ということもあって電車は混んではいないが、決して人の数が少すぎるということもなかっ…

21-8

とりあえずアストロプレイスの駅まで辿り着いてもまだ今晩自分が何を為すべきなのかは全然思いつかなかった。明日日曜の昼の2時頃だ。僕らの飛行機が東京へ発つのは。今晩一夜に何をすべきなのか、またどんな夜になるのかは全く見当がつかない。アストロプ…