Whiskey In The Jar

ようやく梅雨らしい天気になってきたという感じで、空はどんより曇っている。関東地方のことですが。こういう重たそうな雨空を眺めていると、なぜだかアイルランドっぽい音楽が聞きたくなる。曇り空が長く続くというとアイルランドの気候を連想させるからだ。憂鬱な空である。神経もこういった時間には独特の重さを帯びる。しかしそれが必ずしも悲しいというわけではない。それはアイルランド的な音楽の特徴を見れば分かる。70年代にアイルランドから出てきたハードロックバンドが、こういった天候の微妙さと神経の機微を、見事に探り当てて表現していると思う。アイリッシュの伝統的な調べとハードロックが重なったとき、それは独特の覚醒感を開いた。この特徴的なグルーブに病み付きになった人も多かった。シン・リジィのロックである。彼らが奏でるメロディアスなハードロックが、長い梅雨空の下の神経を、安らかに鎮静してくれることであろう。彼らがアイリッシュの伝統的な酒場民謡をロックアレンジにしてカバーしている。1972年のヒット曲である。