ロックとはなにか

愛と幻想の日本史とその音楽的書き換えの現場

『Endless Rain』という曲について類似の曲を連想するとするなら、それはガンズ・アンド・ローゼズの『November Rain』だろう。しかし以前にこのブログで紹介したこともあるように、ガンズのノウヴェンバーレインとは最初に80年代の段階で作られていた時には…

源氏物語からX-JAPANまで−『Endless Rain』

X-JAPANの示しているセンスとは奇妙なもののように見える。この奇妙さが表現し訴えているものとは何なのだろうか。時々その見掛の姿は不思議さを催すかもしれない。しかしよく分析的に見てみれば、日本人の歴史にとって、センスにとって、あの演出あの化粧と…

地獄に堕ちた野郎ども−国家における成熟と老成の時間性

しかし今の日本で、「ニート」という言葉の使われ方というのも微妙に変なものであるように見える。NEETとは日本で使われるようになったが、それは(Not in Employment, Education or Training)の略語ということであり、wikiで見るに、言葉の起源は十年位前…

Captain Sensibleの『Wot』−自由のスタイルにおけるヨーロッパの歴史的な懐

「覇権国家」という歴史的な規定がある。それは圧倒的な経済力を基礎とし、商業と金融において繁栄し、政治と軍事面においても並ぶもののない力をもった国家のことをいう。歴史的には、覇権国家の姿が最初に明確化されて出てきたのは、17世紀のオランダであ…

普遍性と全体的安定性の逆説

カント型普遍性の構造に対して、クリスティーナ・アギレラ的な抵抗があるのだとすれば、アギレラのマニフェストに共感を示したミュージシャンたちがいる。それが実は、ガンズ・アンド・ローゼズであったのだ。07年の幕張でガンズのライブを見たとき、ガンズ…

クリスティーナ・アギレラの『Beautiful』

カントは、美しさを感じる心というのは主観ではないと言った。美を喜ぶ心に、自己の主観的自我だけが関係するような個人的条件を見出すことはできないと強調したわけだが、それはどのようなことを言っていたと考えられるのだろうか。誰が何と言おうと私がこ…

踊るダメ人間

ポップシーンとは市場の欲求にとって最大公約数的なところで構成される平面である。時代に応じてそこではどのような人間像が欲望されているのかを如実に反映し、ポイントをうまく突くイメージが投じられた場合、現象としてのヒットも生むだろうし、必ずしも…

MiChi。の『PROMiSE』

音楽的に日本で去年の特徴を彩るヒット曲とはPerfumeの『ポリリズム』だった。パフュームの表徴した構造について考えてみる。パフュームのイメージとはある種コミュニケーションのスタイルを指標していた。彼女たちの振り付けを見ていると、踊り、歌いながら…

小室哲哉の『WOW WAR TONIGHT』

1. 小室哲哉の曲だったらこの曲が一番いいと思っていた。趣味判断の観点からいって小室哲哉は受けつけないという人は多いのだろうしそれはそれで正しい選択であるとは思う。しかし音楽をヒット曲の生産として売る立場と自己のイメージを資本主義に匹敵するよ…

死者としてのジャズを蘇らせる稀有な方法的能力

ロックは音楽史に対して批評的な位置にあるが、それではジャズとは何だろう。ジャズの音楽史的な位置づけである。ロックはあらゆる音楽史を対象としてそれを批評的に取り込むことが出来る。変幻自在でありヌエのようなそれ自体一ジャンルだ。元からあった音…

The Shadow of No Man−音楽の終焉という到達点

The Shadow of No Man −Crime & the City Solution 80年代中期から後期にかけて、ロックというジャンルの内的進化形態として最終的な飽和に向かっていたのだと思う。幾つかの実験的なバンドは、実験音楽としてのロックをその前衛的な価値においてとことんま…

80年代ベルリンに地の底から湧き上ったマイナーロックの音、そして天使の詩

ヴィム・ヴェンダースの音楽の趣味が面白いことはよく知られていることだろうと思うが、1987年の映画『ベルリン・天使の詩』で使用された多彩な音楽の構成に感銘を受けた者も多いはずだ。ベルリンという多様な想像力を掻き立てる街において、そこに通底すべ…

よく晴れた冬の寒い日に東京ドームで

今日は寒かった。晴れていて風が強くて寒い日が一番辛いのかもしれない。マイミクさんからコンサートのチケットをもらった。東京ドームのボンジョヴィである。僕は自分の人生に賭けてボンジョヴィをよいと思ったことは一度もないのだが、ただでチケットをく…

All Apologies -2

カート・コバーンが書いていた詩だが、シンプルな言葉が並んでいる。若く死んだとはいえ最後に近い時期に、この歌は発表された。最後のアルバムで最後の曲の位置を占めた。これが出て二年後に自殺している。読んでみても、幸せなのか悲しいのか分からないよ…

All Apologies

カート・コバーンは94年、27歳の時に、拳銃自殺するのだが、死体から薬物反応も検出されたという。彼にとって、死にたいと思わせていた想念が何だったのかは、わからない。自殺しうる人というのは、おそらく実際に行為に移す前までに、相当数のその考えに繰…

ニルヴァーナと『移民の歌』

ニルヴァーナがツェッペリンの「immigrant song」を演奏してる映像がある。デビュー前の初期のニルヴァーナみたいだ。自宅で録音してるし、ドラムもあのフーファイターズで有名になる兄ちゃんではない人が叩いている。ニルヴァーナがデビューできるようにな…

『アジアの純真』の起源

日本発の世界的ヒット曲『アジアの純真』の起源として明らかに見出すことのできる原アレンジとは、ELOの曲にある。ELO(Electric Light Orchestra)のアルバム『Discovery』が出たのは1979年だった。ポップスのアンサンブルにおける集大成として、そこで…

パイプライン

映画『サッドヴァケイション』なのだが、エンドロールで流れるのが、最初の曲はたぶん日本のジャズ系で、渋さしらずっぽいようなファンクを日本化してる賑やかな音で、その辺のバンド名を僕は知らないので出てこないのだが、現代音楽が流れて、次にアップビ…

Wish You Were Here-3

この曲について、ピンクフロイド全盛時代に演奏する映像は見つからなかった。オリジナルメンバーのライブ、特にそれはあの特殊コンセプトで80年に出された「THE WALL」以前のもので、彼らがライブの仕掛として壁のヴェールをかけずにいて、まだロジャー・ウ…

Wish You Were Here -2

この曲が収録されたのは、ピンクフロイドのアルバム『Wish You Were Here』であって1975年のことである。歌ってるのはギターのデヴィド・ギルモアの声に近いが、ベースのロジャー・ウォーターズの声も途中から被っている気配は感じられる。ギルモアとロジャ…

Wish You Were Here

『Wish You Were Here』のビデオを探していたら、この曲が演じられたものの中でも一番良かったものは、これではないかと思った。VELVET REVOLVERというバンドがライブで演じカヴァーしたWish You Were Hereである。もちろんこの曲が、ピンクフロイドにとって…

ジョニー・サンダースの『BORN TO LOSE』

青山真治の新作映画のタイトルは『サッド・ヴァケイション』というそうだが、それのトレイラーを見たら思った通り、sad vacationとは、ジョニー・サンダースの曲に因んだもののようだ。そういえば、ジョニーサンダース自身が出演もしたNYのマイナーな映画…

トランジスタラジオ

RCサクセションは70年代にフォークバンドとしてデビューしてから相当メンバーチェンジを繰り返し、バンドのスタイルも大きく変わってきた。結局80年代の末から休止状態に入り実質的には活動停止したものだ。トランジスタラジオとは、清志朗の書いた歌詞の観…

雨上がりの夜空に

僕が高校生の頃、たぶん一番流行っていたロックとは、RCサクセションだったのではないかと思う。僕は洋楽の歴史の方に圧倒的に熱中していたので、当時は興味を持たなかったが、バンドをやるとき一番コピーされていたのは、全体から見ればRCが多かったはず…

November Rain Acoustic Version Very Rare

ガンズ・アンド・ローゼズの『NOVEBMBER RAIN』のアコースティックデモの音源を見つけた。昔のデモ音源を元にして、別のオリジナルビデオの映像と重ね合わせて、ファンが自作したビデオである。この曲は、92年に発表のアルバム『USE YOUR ILLUSION』に収録さ…

それは本当にライブなのか?

ふとした事から、マイミクさんよりガンズ・アンド・ローゼズのチケットをプレゼントされた。日曜日の幕張メッセのライブである。ちょうど台風が千葉方面を直撃しているということで不安定な天気。ここ数日は憂鬱な湿った空気が続き、雨が降ったりやんだりを…

Whiskey In The Jar -2

アイリッシュの民謡だった『Wishkey in the jar』をシンリジイがロックにして、それをメタリカがカバーしている。もともとこの曲はアイルランドでの酒場で労働者やルンプロに歌われていたわけで、シンリジイの歌詞を見ると向うの隠語で何を書いてあるのかわ…

Whiskey In The Jar

ようやく梅雨らしい天気になってきたという感じで、空はどんより曇っている。関東地方のことですが。こういう重たそうな雨空を眺めていると、なぜだかアイルランドっぽい音楽が聞きたくなる。曇り空が長く続くというとアイルランドの気候を連想させるからだ…

『LITTLE WING』伝説 4

ジミ・ヘンドリックスのオリジナル版リトルウィングとは、2ndアルバム『AXIS=BOLD AS LOVE』に収録されている小品だった。ヘンドリックスが、後に名曲として確立されることになるこの曲を演奏してる姿とは、状態のよい映像では、どうやら残されていないみた…

『LITTLE WING』伝説 3

スキッド・ロウがリトルウィングをカバーしている。スキッドロウをグランジととるかメタルととるかも見方が分かれるが、心性としては限りなくグランジに位置し、90年代のアメリカで中産階級的な若者の抱える鬱屈、遣り切れなさといったものをぶつけたヘヴィ…