雨上がりの夜空に

僕が高校生の頃、たぶん一番流行っていたロックとは、RCサクセションだったのではないかと思う。僕は洋楽の歴史の方に圧倒的に熱中していたので、当時は興味を持たなかったが、バンドをやるとき一番コピーされていたのは、全体から見ればRCが多かったはずだ。当時、他には子供バンドのサマータイムブルースなんていうのも結構流行っていた。うじきつよしがやっていたバンドであるが。十代の頃はRCに興味なかったが、しかし後から振り返ると、やっぱり当時は気が付かなかったが、あのバンドは凄いバンドだったのではないかと思う。忌野清志郎とか、実はスゴイ、面白いなあと、しばらく経ってから気付いた。例えば、吉本隆明清志郎がすきだとか、評価したとか、そう云われた当時は別に何とも思ってなかったが、今になってみると、そうか、やっぱり吉本が忌野を評価したのは必然性あったよなとか思うのだ。歌詞とか改めて読んでみると、やっぱり完璧なのだ。ここ数日、RCの昔の映像を発掘することに夢中になっていたものだ。『雨上がりの夜空に』のビデオで一番出来の良いものは、見た中ではこれだったと思う。今見て、RCというバンドについて気付くのは、まずバンドのちぐはぐな感じ、雑多性、雑民性である。80年頃にテレビ出演した録画だが、なりきりストーンズという感じで演出してるのかと思うと、キーボードはなんかニューウェイブ系だし、チャボでない方のギターは、当時流行のメタルっぽい味で弾いてるし。80年当時のイメージで言えば、この雑多性はアメリカでカーズの登場してきたときのイメージにも似ている。元はフォークバンドからスタートしたRCサクセションである。彼らが彼ら自身として、日本のロックの雄として成長した過程には、相当な紆余曲折があったのを伺わせる。つーか、このビデオ面白すぎ。