『LITTLE WING』伝説 4

ジミ・ヘンドリックスのオリジナル版リトルウィングとは、2ndアルバム『AXIS=BOLD AS LOVE』に収録されている小品だった。ヘンドリックスが、後に名曲として確立されることになるこの曲を演奏してる姿とは、状態のよい映像では、どうやら残されていないみたいだ。淡々と静かに歌い上げるヘンドリックス。曲に込められた詩も、淡々と静かなものである。しかし振り返ってみれば、このシンプルなメッセージこそが本質的なものであったのだとは、ロックという事件の歴史を事後的に遡行してみたとき見出される、ある逆三角形の、ピラミッドの頂点のように、その後の威光を放っているのを、感じとることができる。それは飴色に焼きついた古い映像の奥からも。

彼女が人混みの中を、歩いてくる
サーカス沁みた遊び心を、ワイルドに走らせながら
蝶々とシマウマと月の光とお伽話
それが彼女の考えるすべてだった
風に乗りながら
・・・・・・・・・
僕が悲しみに暮れてるとき、彼女はやって来た
千の微笑を携えて、彼女は僕に自由をくれた
大丈夫、大丈夫だから
あなたが欲しいと思うものを、なんでも私から取りなさい
飛んでいけ 小さな翼