YOUNG BLOOD

リッキー・リー・ジョーンズがアルバム『浪漫』でデビューしたのが79年のことであったのか。リッキー・リー・ジョーンズのセンスだが、アメリカの音楽史が、ポップの側面からもジャズの側面からもよく凝縮されて出てきたという感じ。出るべくして出てきた、アメリカ人女性として、一個の完成された音楽的センス。音楽的に表現が為された女性性として、この完成度にかなうものは、まずないわけであって。彼女の抽象力の鋭さなのか、実存的センスの豊かさなのか。浪漫的でもあるのだが、アメリカ人的放浪として一通りのことを若いうちに済ませてきた彼女の経験的蓄積にとって、実存と表現でこうも直接的綜合が可能になるというのも、まさにアメリカ的な素直さと合理性を身を以って生きた技だったのではないかと思わせる。素直になることが、直接的綜合の高密度の凝縮を可能にしている。それがリッキー・リー・ジョーンズ的な浪漫の存在論である。

They say this city will make you dirty
But you look alright
You feel real pretty when he's holding you tight
City will make you mean
But that's just make-up on your face
Love will wash you clean in the night's disgrace
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都会が君を汚くさせると、人は言う
でも、君はとってもよく見える
彼が君を抱きしめているとき、本当に可愛いと自分を感じられる
都会は君に意味を与えたが
それは顔に施した化粧のようなもので
この恥知らずな夜の中で、愛は君を洗い上げるだろう