2006-01-01から1年間の記事一覧

『寛容さ』という感情の起源

ニーチェは、人間にとって、寛容さという感情の出来上がる起源について、それが果たして倫理的な思考に発するものであるのかどうかということについて、ある疑義を提出しているのだ。 共同体はその権力が強まるにつれて、個人の違反をもはやそれほど重大視し…

プロレタリアートの黄昏

1. 西洋システムの歴史的な歩みとはローマ帝国以来のキリスト教システムの発展過程に重なっている。それはキリスト教が全体的な統治システムとして完成していく過程である。ルネッサンス期以前までのキリスト教システムとは精神主義的な抑圧性が強固に機能し…

天国と共産主義

マルクスの『ドイツイデオロギー』のノートに残っているとされている、次のようなマルクスの記述は有名である。 共産主義というのは、僕らにとって、創出されるべき一つの状態、それに則って現実が正されるべき一つの理想ではない。僕らが共産主義と呼ぶのは…

情動の技術

エチカの第四部『人間の隷属あるいは感情の力について』で、スピノザの試みている作業とは何だろうか。 感情を制御し抑制する上の人間の無能力を、私は隷属と呼ぶ。なぜなら、感情に支配される人間は自己の権利のもとになくて運命の権利のもとにあり、自らの…

ルサンチマンの処理を巡る

1. Re=sentiment。ルサンチマンの意味とは、過去について再−感情化を施す心理学的な傾向にあたる。 ニーチェによれば、ルサンチマンを道徳法則として構築してしまったことが、キリスト教における最大の誤りである。ルサンチマン道徳の発生とは、それ自体はじ…

スピノザとニーチェ

1. 生前はまだその価値が埋もれていた著作家、スピノザの再評価、スピノザルネッサンスとは、歴史の中で何度か繰り返し現れている。18世紀にドイツ人においてスピノザの価値が発見され充実したスピノザ研究をもたれた。ゲーテによるスピノザ研究、スピノザ礼…

ポップトーン−それは現代における神曲である

ニーチェ的な哄笑の響きとともにジョン・ライドンは宣言した。パブリックイメージ、それは制限済みであるのだと。ジョン・ライドンが音楽史的に施した仕掛けとは何だったのだろうか。それはまずセックスピストルズによるパンクロックの創生から始まった。パ…

Public Image Ltd.

この人を見よ?デイブ・スペクターとよく似てると云われるんだけど、僕の考えでは、この人本当はビートたけしとパフォーマンスのスタイルが同じなんではないかと思うのだが。たけしと同じ癖の動きをする人。・・・セックス・ピストルズ−それはあっという間に…

反復される『Wild Horses』

1970年にローリングストーンズはアルバム『Sticky Fingers』を発売する。これはローリングストーンズにとって画期的な転換を遂げたアルバムである。ジャケットの製作をしたのはアンディ・ウォーホールであった。レコードジャケットの中央部にはファスナーが…

JUMP

また素晴らしいビデオを見つけてしまった。これは20世紀のある一時期には高名で通ったかの御方である。覚えている方はどのくらいいるだろうか?もう今の若い世代は知らないのではないだろうか?この御方の事を・・・。しかし彼のファンというのは根強い。実…

霧雨の中の70年代−フリートウッド・マックの70年代

フリートウッド・マックの過去の資料を幾つかyoutubeで見つけることができる。それはフリートウッド・マックが一番良かった時期、輝いていた時期、70年代の映像だ。フリートウッド・マックの音楽を正確に受け止め、正確に理解できる季節とはいつだろうか。そ…

『生存の美学』が成立するための条件とは?

映画『ブロークバック・マウンテン』において二人の男の同性愛を「生存の美学」たらしめているものとは何だろうか。そもそもアン・リー監督のこの作品が2005年度に話題を集めたジャーナリスティックな理由とは、カウボーイの中に同性愛がありえたという物語…

『自己愛する神』の存在−『ブロークバック・マウンテン』

『ブロークバック・マウンテン』は、アメリカのカウボーイにおける同性愛を扱った映画である。1963年、ワイオミング州のブロークバックマウンテンにて、羊の放牧管理の仕事を得た二人の男の存在があった。二十歳の青年、イニスとジャックである。二人は大自…

スピノザとプライドの価値

スピノザにとって、人間的感情としてのプライドが、彼の哲学にとってはどのような価値を帯び、位置づけを占めているのかを見てみよう。エチカ第三部の諸感情の定義より、 三〇 名誉とは他人から賞賛されると我々の表象する我々のある行為の観念を伴った喜び…

Money Changes Everytihng−シンディ・ローパーのリベラリズム

シンディ・ローパーを見ていると面白い。ただそこにいるだけで見ていて飽きないキャラではある。シンディは1953年生まれのアメリカ人である。シンディが表現しているのは、いつも存在の過剰性である。特にそれは、女性性における過剰なものの実在を如何に昇…

ヨーロッパの裏アソシエーションの歴史

宗教教団の乱立して抗争を繰り返した近代までのヨーロッパの歴史が垣間見れるところが『ダ・ヴィンチ・コード』の面白いところである。ヨーロッパの地全土を舞台にして、かつての宗教教団の乱立する様というのは現代史で言うと左翼の様々なグループが興亡を…

ダヴィンチコード

「ダヴィンチコード」がヒットしている。僕も早速見てきた。これが映画の出来としてはどうなのかということについては、ここで論じない。そういうのはテレビで、おすぎさんの批評にでも任せたい。それより僕が興味深かったのは、この映画の舞台としている西…

ダーウィンとマルクス

進化論を明らかにしたダーウィンは、マルクスから唯物史観の着想に寄与したとのことで資本論の第一巻を献本されたというエピソードがある。もしかしたら微笑ましいエピソードだったのかもしれない。ある種の伝説でもある。しかし当のダーウィンのほうである…

今更ながら

中央公論社の「世界の名著」シリーズを最近になって集めている。中公バックス「世界の名著」はもう数年前に絶版になってしまったのだ。だから古本屋をこまめに見て回っているものだ。「世界の名著」シリーズは実は重要だった。その事に僕が気づいたのはつい…

Dead Flowers

さて、僕が高校時代にお気に入りだったストーンズの曲の重要なソースを早速見つけた。アルバムでは『Sticky Fingers』に収録されているが、少々マイナーで渋い曲だったが、この曲は妙に耳に残り、心の中で無意識的に何度となく反復したものだった。 DEAD FLO…

YOUTUBE

youtubeが巷では流行ってるのだろうか。それで僕もyoutubeにここ一週間くらいの間やられていた。それで極度にみまくったので、もう飽きたくらいの感じである。youtubeの何が面白いのか?winMXというのは五、六年前の出来事だったが、もうwinMXの場…

先週の事だが

あかねに立ち寄ったところたまたますが秀実氏と遭遇した。これから同人誌の座談会をやるというので関係者たちと準備をしていた。id:NakanishiB氏も含むそれである。そのまま店の中で座談会の進行を横目で見ながら過ごした。会は無事終わり、ビールを飲んだり…