25-6 (Train in vain)



それから数時間のあいだ僕らは空港の時間が来て解放されたロビーのソファを利用して、眠ったり語ったりを何度か繰り返していた。

僕らの飛行機が出る時間が近づいてきて、同時にロビーは東京行きの人々で埋まってきつつあった。ソファに隣同士で疲れた身体を休めながら、僕と究極Q太郎は何かぼんやりとしていた。もうお互いに体も精神も疲れ果てていて、とても理論的な言葉が出てくるとはいえない位まで、内部の感覚は空港の風景で飽和していた。究極さんは狭いソファに座り顔は俯きがちで、疲れきった身体を持て余しつつ限りなく顔は奥へとひっこんでいくように見えた。僕らはそれほどもう疲れていたのだ。このまま静かに癒してくれることを心から願っていた。

飽和している身体から見えるのは、大きな曇空の下に窓の外をゆっくりと往来している巨大な飛行機の姿か、湿って蒸し暑いロビーの中でごった返している人々の雑多な姿だった。JFK空港のアナウンスが日本語で鳴っていた。


−−了−−