ラタトゥイユって実は凄い食べ物

最近、野菜のラタトゥイユバスク風というのを覚えてよく作っている。テレビの昼の番組で、徹子の部屋でフレンチの有名料理人が紹介していたレシピなのだが、作り方は簡単で、野菜だけ、幾つか切り刻んだものを、塩と胡椒だけまぶし、上にオイルをかけ、電子レンジに15分かける。後は一時間でも一日でも、それを放っておけばよい。野菜のラタトゥイユの立派な出来上がりである。具材に何を使うかということだかが、一般的なラタトゥイユではズッキーニのような野菜を使うが、そんなものは日本で高いので、単に、茄子、玉葱、人参程度が揃えば、もうそれで作ることができる。キノコ類が何か入ると、それだけで味わいが圧倒的に増す。茄子も玉葱も人参も、スーパーでそれぞれ一個50円程度で売ってる。最高に安上がりの健康食である。そのまま食べてもいいし、おかずにしてもよい。このレシピで凄いところは、調味料を一切使う必要がないと云う事である。一切が野菜の旨味をそのまま引き出すことで味が出ている。気をつけるのは、塩をかけすぎないことで、野菜の甘味を最大限引き出すことにある。普通にラタトゥイユのレシピを調べたとき、コンソメやベーコンやトマトなどを、旨味を出す為に入れるみたいだが、本来そんなものを何も使わなくとも、野菜自体に充分な旨味が自ずから含まれていることを発見できる。僕はコンソメを使ってみたものも試してみたが、コンソメを入れても入れなくても実は殆ど味が変わらないのだ。もともとコンソメのようなものが、野菜の旨味を抽出して凝縮させただけのものだという事を考えれば、それも当然のことである。オイルは、出来ればオリーブオイルを使いたいところだが高いので、普通のサラダオイルか、ごま油のようなものでも充分である。バスク地方というとスペインの方だが、そっちの地方で伝統的に、最も原始的に、シンプルに野菜をおいしく食べるために続いている、方法論である。特に何も素材に加工をせずに、素材に内在する旨味のみで、引き出して食べるというのは、欧風というよりも日本の伝統的方法に近い気もするが、日本でこの食べ方が見出されなかったのは、オーブンという調理方式の有無によるものだろう。