異邦人

この曲がベストテンで1位をとったのは79年みたいだ。なんとかイスタンブールなんて曲もあったけど中東イスラム系音階が、エキゾチックとかいう言い方で当時導入されることが流行った。曲はばっちり歌謡曲だけどイントロに差異化する音階を入れてキャッチーに人の気を引いたという仕掛かな。久保田早紀がその後どんな音楽活動だったのかも知らないが、この後続かなかった。最初は八王子からテレビ局まで電車で通っていたのだな。八王子というと先輩にユーミンがいるけど八王子のお嬢さん音楽文化みたいな系譜があったのかもしれない。ユーミンの場合は呉服屋の娘だったことは有名だ。家にピアノがあってお嬢さんは文化的で英米のポップスに親しむ。これ以降音沙汰が消えた彼女だが精神的な問題で三鷹の教会に通ってるという記事を読んだことがあった。それからしばらくして今、彼女はアメリカの共和党右派に根差している某教団のCMに出てきた。つい最近だが。79年のビデオで彼女の顔を見ていると何か壊れやすそうな気配とはその頃からあったのかもと思う。こういう表情の人って時々いる。この曲がヒットした感性の土壌、こういうイメージの曲を広く受け入れた70年代後半の社会の方が何か今となっては興味深い。その時代の存在こそが今の我々にとっては異邦人ではなかろうか。当時の時代の何か物寂しい心の隙というのが奇妙な独特な情緒を生んでいたのだ。