18-5

「それで・・・今日は何曜日だっけ?」
「今日はもう土曜日だよ」
「帰りの飛行機は?僕らが日本に帰る予定の」
「それは日曜日。日曜日の朝10時にJFKから飛ぶ飛行機だ」
「ふむ。そういうことだよな。それじゃあいよいよラストじゃないか。最後に何見ときますか?ここニューヨークで」
「そうだ。土曜の午後には大きな反戦デモがあるはずだよ。マンハッタンで」
反戦デモか。それはどこで集合なの?」
「ユニオンスクエアかな。ユニオンスクエアという公園が出発点になってたはずだ」
「今日の午後か。もうすぐだけど。でもまだ時間があるね。なんか見足りないものはあるかい?」
「うーん。特に思い浮かばないな」

究極さんは首をふった。

「週末の反戦デモか。・・・そういえば飯塚くんと村田さんもそのデモの話をしていたなあ。」
「彼らもデモには参加なのかい?」
「そりゃあ参加でしょう。そういえば彼らはかなり嬉しそうに週末に大きなデモがあるという話をしていたよ。」

「それじゃあこうしよう。これからしばらく僕らは別行動で動こう。それで反戦デモで再び合流しよう」
「そうしようか。ちょっと一人で適当に散策してみようか。最後にマンハッタンを」

牛丼を食いながら簡単にスケジュールを確認し合った僕らは、そこから別行動となった。特に何を決めているわけでもないが、行く先も分からず二人でうろうろしてるよりも、一人で気ままにぶらっと歩いたほうが、お互いの気に障らなくてよさそうだったから、最後に自由行動の時間を持ったのだ。究極Q太郎はそれでも彼持ち前の几帳面さで、てくてくと足早に例のキャリーバッグを引きずりながら移動していったが、僕はだらりと流れるように、騒々しい街の内部で留まってしまった。

ショウウィンドウの誘惑に流れるままに見てあるき、電化製品の大型店とか、本屋とか、スポーツ用品の店とか。アメリカ的な商売の在り方がどんなものなのかに好奇心がいっていた。電気用品は特に日本と比べて安いとかいうことはあるのだろうかとチェックしてみる。ドルの値札に円のレートを掛け合わせてみる。当時は円が120円程度だったから円安ということで日本の旅行者から見ればあまりおいしくはないレートだった。