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村田さんがよく使っているというチャイニーズレストランに導かれていって入った。ビルのフロアをエレベーターで上ったところにあるのだが、昼下がりのこの時間帯に、ランチタイムのピークはとうにすぎ、広いスペースに丸いテーブルの幾つも埋まっている店内に、客は僕らの他はもう疎らにしか残っていなかった。アジア系の顔をしたウェイトレスが数人、後片付けか掃除かみたいなことをやっている店内で、僕らだけには広すぎるし喋る声のこだまして跳ね返ってくるような店内だし、営業時間以外の準備中の時間帯に間違って足を踏み入れてしまったような、閑散として慌ただしい店内だったが、しかし店の方はまだしっかり営業してるような様子なので、その広い店内の真中のテーブルで、広いスペースを独占してしまったような様子で、僕らは食事をとったのだ。大きな店だが古びたような空気が染み付いたチャイニーズレストランだった。けっこう昔からずっとそのままの姿で営業をしている。他にニューヨークで入った幾つかの店と同じ様に、やはりこのチャイニーズレストランもどこかで時間の止まっているような感じの否めない店だった。そこでメニューを見ながら一品ずつ食べ物を順繰りに頼んでいった。