ジョンレノンの『GIMME SOME TRUTH』

ジョンレノンの映画「GIMME SOME TRUTH」のDVDを借りてきて見ていた。これはアルバム「IMAGIN」の制作過程を、ジョンレノンのイギリスの別荘でずっと取材したものをまとめたものである。実はこのドキュメンタリー映画はけっこう面白いと思う。ジョンレノンとオノヨーコについて、彼らのイデオロギー的な背景についてよく分析的に、改めて眺めなおしてみることができるからである。これは1971年に取材されたドキュメンタリーなのであるが、確実にジョン&ヨーコはこの時代の左翼運動およびヒッピームーブメントなどの影響を受けつつ、彼らの主張とその音楽的な反映物を作っていたというのがよくわかるからだ。そして基本的に、この時期に到達された解放主義の頂点的な境地とその限界性について、すべてがこのときにもう素描されて出てきていると見ることは可能だろう。基本的にこのときの解放主義の到達点というのを、人間は超えるものではないのだ。ジョンレノンについてのパーソナリティの側面から見た具体的な性質なども、よく窺い知れると思う。ジョンレノンは別になんら謎の人でも特に特殊な人間でもないはずだ。わかりやすい普通のイギリス人としてのジョンレノンの素顔があると思う。オノヨーコにしてもやはりわかりやすいと思う。そしてジョンレノンが何故オノヨーコのような人物、ジョンの側から言えばオリエンタリズムの志向も隠せないような日本人女性に感情移入を果たしえたのかとか、いろいろと想像してみることも可能だ。ジョンもヨーコも至って素直で凡庸さを兼ね備えた人物であるのだろう。ジョンレノンの日常的な、生活的な仕種の一つ一つが、彼が自分の歌に酔いしれて作ってみせるポーズのそれぞれなんかも含めて、本当に普通で凡庸、ただのイギリス人の兄ちゃんという感じがよく伝わってくるだろう。