2006-03-11から1日間の記事一覧

『個人的な体験』を巡る

大江健三郎が二十代の終りに書いた小説、『個人的な体験』において、自己欺瞞の意味について問われている。自己欺瞞を否定するがあまりに出口がなくなる自意識の持つパラドキシカルな構造が、この作品には露わなる痕跡として残されている。それは出口のない…